「A Field Guide to the Birds of Korea」「原色野外図鑑  韓国の鳥」で大変お世話になったLG会長・具本茂さんの訃報を知りました。

心よりご冥福をお祈りします。

極めて紳士的な方で、穏やかな笑顔の素敵な方でした。
会長が出版を熱望され、LG常緑財団がスポンサーとなり、テキストは現ソウル大学教授の李宇新さんはじめ3名の韓国の学者さん、韓国ベースでの図鑑作成でした。当時日本野鳥の会事務局長だった市田則孝さんが間に立たれたこともあり、とても大切にして頂きました。
何一つ、不快な思いをすることのない制作現場で、ありがたいことばかりでした。

具会長はお若いころ狩猟を趣味になさっていたそうです。
やっと恵まれたご子息を病気で亡くされた時に、狩猟で命を粗末にしたからだとご自身を責め、野鳥保護に力を入れようと思われたと聞きました。
当時、韓国には使用に耐える野鳥図鑑がなく、高野伸二さん著「フィールドガイド日本の野鳥」の存在をご存じだった会長が、日本野鳥の会に高野図鑑と同じようなハイクオリティの図鑑を作りたいと作成を依頼。もう高野さんが亡くなられてずいぶんと経ったあとのことで、それで、谷口に大役が回ってきた経緯があります。

漢江をみおろすLGツインタワーの最上階の会長室には大きな大きな望遠鏡がありました。そこで、野鳥保護に対する熱い想いを伺ったこと、良い思い出です。
社員の方、全員が会長を誇りに思い、誠心誠意働いておられたのも印象的でした。みなさん、どんなに深い哀しみの中におられることでしょう。

会長の撒かれた種が大きな木になりますように。

※web上で「フィールドガイド日本の野鳥」と「A Field Guide to the Birds of Korea」が似ているとされている記事を散見しますが、上記の経緯からこれは当然のことで、韓国が真似をしたわけでも何でもありません。
谷口が関わらせて頂いたアジア各国の図鑑は、本の大きさもページの割り振りも、この仕様をベースに全て作られています。